四日野PTA広報委員です。2023年12月14日(木)に行われた学校保健委員会の講演「ドーピングについて」を聴講してきました。
講師に学校薬剤師の堀内正子さんをお招きし、スポーツのフェアプレイ精神に反する行為である「ドーピング」に関する基本知識、そして身の回りに潜む薬物乱用の危険に関する注意点についてお話しいただきました。
ドーピングと聞いて、「それってオリンピックの話でしょ?自分とは関係ない」と思われる方が多いかもしれません。しかし、小学生たちの中には、未来のトップアスリートを目指していく子どもたちもいます。趣味でスポーツをする人、スポーツを見る人、スポーツを支える人も、正しい知識をもつことが必要になってきます。
1988年にオリンピックで世界記録を出した陸上選手ベン・ジョンソンが金メダルおよび世界記録を剥奪された事で、厳格な検査やドーピング防止活動が世界的に推進されるようになりました。日本ではスポーツ基本法で、ドーピングの防止の重要性に対する認識や理解の推進が記されています。国内では日本アンチ・ドーピング機構 (JADAと略します)(https://www.playtruejapan.org/ )がドーピング検査や防止活動の推進を行なっています。
ドーピングは、フェアなスポーツが成立しない不正行為で、薬物乱用が体に害を及ぼす危険があります。近年は高等学校や中学校の学習指導要領にもドーピングの理解を含めるための内容が含まれ、小学校ではフェアなプレイを大切にすることなどが指導されます。2023年4月以降の国体の参加者には、定められたアンチ・ドーピング教育を受講することが義務化され、少年種別競技に参加する場合は保護者も受講対象です。一般のアスリートでも国際大会に出場し得ることもあり、「知らなかった」ではすまされないのですね。
ドーピングとは?
スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為を指します。練習と健康管理以外で身体の能力をあげることですね。意図的であるかどうかに関わらず、ルールに反する様々な競技能力を高める「方法」やそれらの行為を「隠すことも」も含めて、ドーピングと呼びます。
ドーピング検査は、競技会時か競技会外で、抜き打ちで行われます(同性立ち合いによる尿検査)。陽性反応があった場合は、スポーツ仲裁(裁判のようなもの)にて、意図的な行為であったのか否かが問われ、処分が決まります。
競技者が本当に薬が必要な場合は?
治療目的の為に薬を必要とする競技者には「治療使用特例 (TUE)」があります。予め届出をすることで薬を使用することができます。(IFの窓口、あるいはJADAの窓口に申請します)
具体的に何が禁止されているの?
禁止されている物質や方法については、国際基準があります。
参考:https://www.playtruejapan.org/code/provision/world.html 「禁止表国際基準」スポーツにおいて禁止される物質と方法が記載された一覧が掲載されています。世界ドーピング防止機構(WADAと略します)が毎年発行しています。
しかしながら、一覧表を見ても個人で判断することは容易ではありません。禁止物質は、処方薬だけではなく、ドラッグストア等で販売されている市販薬にも含まれているものもあるからです。
例えば、咳止めとしての効果がある「エフェドリン」は、禁止されている成分のひとつですが、ほとんどの市販風邪薬に含まれています。また、のど飴にも禁止されている成分が含まれることがあります。「え?のど飴にも?」とヒヤッとしますね。
特に漢方薬には様々な生薬が入っていて、禁止物質が含まれている生薬がたくさんあります。漢方薬は作用が緩和なイメージがあるため、安全であると思われがちですが、実は要注意です。一方、サプリメントには筋肉増強などの禁止物質が入っている物がたくさんあります。また、サプリメントは日本の法律では食品の扱いとなるため、製造過程で薬のような厳格な取り締まりがないため、記載成分に禁止物質がなくても混入している可能性があります。そのため、専門家も、ドーピングに対して安全か否か判断することができないため、サプリメントの摂取を推奨することができない、とのことです。
禁止物質の調べ方は?
競技者が薬について調べられるよう、薬の商品や成分を検索できるサイトがあるそうです。
Global DRO https://www.globaldro.com/JP/search
世界には様々な薬があり、専門知識を持ったスポーツファーマシスト資格取得者であっても複数人で確認する必要がある程複雑なケースもあるようです。
禁止物質の大麻成分について
禁止物質の中に大麻の成分もあります。大麻は日本では薬物乱用のひとつであり、犯罪です。最近、大麻由来の成分に似たHHCHグミで体調不良者がでる事件が話題になりました。成分の化学式がすこし違うので規制の対象になっていなかったのです。また、外国では合法的に大麻の成分である、テトラヒドロカンナビノール(THC)入りのお菓子が販売されていることがあります。小学生が海外渡航する機会も増える中、滞在先で誤って買ってしまわないよう注意してください、とのことでした。
大会に出場する予定がある競技者は「意図しない(うっかり)ドーピング」で違反にならないよう、必ず医療従事者に自己申告し、相談してください、とのことです。
今回の講演を拝聴して、薬や食品全般については安易に考えずに、改めて注意していこうと思いました。堀内さん、学校医の方々、湯浅先生、副校長先生、企画いただいた文化委員の皆さま、ありがとうございました!
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